水分の補給をこまめに
朝日新聞2003年8月3日に掲載された「運動中の熱中症予防を考える」から抜粋しました
● 高湿度は危険
  「熱中症」と聞くと暑さの中での症状と考えがちだが、スポーツ活動による熱中症事故の約4割は、30度以下の状況で
起きている。気温だけでなく湿度も大きな要因で、高湿度だと汗をかいても熱を発散できなくなる。
 気温が高くなくても、湿度が高いと危険性がある。
● 塩分の補給も
  汗をたくさんかいているのに水分を補給しないと、脱水症状が起きる。
夏場は30分に1度は休憩し、こまめに水分を取るようにしよう。
 長時間の運動の場合は塩分も必要。0.2%程度の食塩水を飲むといい。
 汗をかく量は個人差が大きいので、運動の前後で体重を量ることを勧める。急に体重が減っているのはそれだけ水分
を失っている証拠だ。
● 肥満も要注意
  暑さへの耐性は個人差が大きい。特に注意が必要なのは肥満の人。熱中症で亡くなった人の7割以上は肥満傾向
だった。そのほか、寝不足や疲労なども、暑さへの耐性を低め、熱中症を引き起こす原因となる。
  「熱中症は死に至る」という危機感を持とう。様子がおかしい場合には、涼しい場所に寝かせ、水分を補給するのが基本。
重傷になると体温が上がり意識障害が起きる。
 このような場合は全身に水をかけ、うちわなどであおぎ、なるべく早く体温を下げれば救命率が上がる。
● 最初の数十分
  重傷の熱中症でも初期段階では意識障害の程度が軽く、周囲の人が重傷と思わないことも多い。応答が鈍い、
言動がおかしいなど、少しでも意識障害の症状があれば、重傷と考えて対処する必要がある。初期の段階で適切に対応
していれば助かると悔やまれるケースも少なくない。最初の数十分が勝負になる。
● 暑さに慣れる
  死亡事故は梅雨明けや合宿初日などに多い。また、人口比で見ると九州・四国に比べて東北での死亡事故の起きる
割合が高いという統計もある。どれも暑さに慣れていないのが原因といえる。急に激しい運動をすると、それだけ危険も高くなる。
 暑くなり始めたら一度練習の強度を落としたり、練習時間を短くしたりする対応が必要。練習内容では、ランニングやダッシュ
を繰り返している最中に起きている場合が多い。
 また、運動するときは涼しい服装にする、帽子などをかぶって直射日光を避けるなどの予防策も必要。
● 高校野球での取り組み例
  全国高校野球選手権大会では、練習場や試合中のベンチ、試合後に取材を受ける通路、移動のバスの中などに飲料水
が用意され、自由に飲める。審判委員も試合中に最低3回は水分を補給する。
 日本高校野球連盟のまとめでは、高校野球部での熱中症による死亡事故は過去10年で4例あるが、最近3年間はおきて
いない。今春の高校野球実態調査でも「水分補給は自由にさせる」と答えた指導者が88%に上るなど、熱中症対策の意識
の浸透ぶりがうかがえる。
 とはいえ、試合中に熱けいれんをを起こしたり、倒れたり選手がいないわけではない。日本高校野球連盟は専門家の助言を
仰ぎ「1口目口をすすぎ、口内温度を下げてから飲む方がよい」などとアドバイスしている。